第一章
京浜マシナリーからエンジンの取引を停止するよう伝えられる。
白水銀行の柳井哲二から、水素エンジン開発を続けるなら3億円の融資は難しいと言われる
競争相手のナカシマ工業が、小型エンジンの特許侵害で訴えてきた。損害賠償額90億円
弁護士の田辺に相談
ナカシマ工業が訴訟のプレス発表
白水銀行から不信がられ、融資の話も断られる
ナカシマ工業は、裁判を長引かせて佃製作所が資金面で苦しくなった時に和解案として佃製作所を傘下に取り込もうとしていた
田辺は特許裁判は得意ではなく、第一回口頭弁論では、相手側の主張に上手く対応する事が出来ず、裁判官に悪い印象を与えて終った。
元妻の沙耶から、知財裁判ではすご腕の弁護士・神谷を紹介してもらう
大手投資会社ナショナル・インベストメントのキャピタリスト浜崎に会い、資金の相談、転換社債で1億5千万の融資を受ける
佃製作所はナカシマ工業を、別件の小型エンジン(エルマ-Ⅱ)の特許侵害で告訴する

第二章
帝国重工が水素エンジンで特許出願したが、佃製作所が先に特許出願していた為に特許取得失敗する
帝国重工は佃製作所に水素エンジンの特許を20億で売って欲しいとお願いする
佃製作所は特許の売却を断る
佃製作所が訴えていた裁判で、佃製作所は勝利し和解金として56億円がナカシマ工業から支払われ、
 更にナカシマ工業が佃製作所を訴えていた裁判も取り下げる条件で和解する事になった

第三章
帝国重工が水素エンジンの特許を年間5億で使用させて欲しいとお願いする
佃は会議で、特許使用を断り、自分の会社で水素エンジンを作製して帝国重工に供給したいと提案する。
特許使用と認めて使用料を受け取るほうがリスクもなく楽だが、知的財産で儲けるのは会社本来の趣旨と違う。夢とプライドの問題。
財前は、エンジンバルブ提供の提案を断る為に佃製作所行くが、工場見学をし、
 工場内の雰囲気、作業員の技術の高さ、バルブの性能の高さを見て、佃製作所の提案を受け入れようと考えが変わる。
営業の社員から、帝国重工に部品供給ではなく、特許使用料を取るようにして欲しいと懇願される。
「ロケットを飛ばす事は社長の夢かもしれないが、公私混同ではないですか?使用料で稼げば資金巡りは安泰になります」

第四章
超一流ベンチャーキャピタルのマトリック・パートナーズの須田から、「ある大企業が佃製作所を買収したい話があると」伝えられる
経営者としての夢か社員の安定か、佃は悩んだ。
会社とはなにか、何のために働いているのか、誰のために生きているのか・・・。
佃が、三上に大学教授の席が空くので大学教授にならないか?と薦められる。
佃製作所は帝国重工でバブルシステム部品のテストを受ける事になる
財前に代わり富山が、バブルシステムのテストを担当する事になった。
富山は、テストを不合格させて特許使用許諾してもらい、自分の手柄にしようとしていた。

第五章
テスト1日目が始まると、帝国重工は上から目線で佃側をダメ出しして行く。
佃側が反論しても、それに対して反論仕返し、佃社員は苦汁を味わう事になる。
1日目が終わり、テストが不合格になり特許使用許諾料を貰うほうが良いと思っていた社員の考えが変わった。
佃の品質・佃のプライドに掛けて、このままでは終れない。社員達は徹夜で資料作りをした。
宿題とされていた資料作りを全て作製し、帝国重工を驚かせる。
評価する気のない帝国重工側に対して
「何か勘違いしてませんか?まともな評価が出来ない相手にウチの特許使用を認めるわけには行きません」と殿村。
帝国重工社員はこの言葉に青ざめた。特許使用が拒絶されれば、自分への責任を問われかねないからだ。
佃は大学教授の件と企業買収の件を断る事にする。「社員と夢を追いかけてみる事にするよ」

第六章
帝国重工でテストする為に出荷したはずのバルブが佃社内に残っていた事に気づく。
帝国重工から、テストで異常値が出たと電話がある。
真野が川本に指示して、不合格品のバルブを帝国重工に送っていた事がバレる。
すぐに帝国重工にバルブを持ち込み、再テストのお願いをしたが富山に断られる。
浅木が財前に許可を取り、バルブの再テストし、テスト結果を修正。
富山はコレを見て激怒し、元の数値も併記する様に指示する。
真野は辞表を提出して佃製作所を辞める。
富山は、部品納入を諦めて特許使用許諾にしませんかと問うが断られる。
富山は水原に報告。
水原は三上に教授の件がどうなったか確認の電話をすると断られたと告げられる。
水原からは佃が熱い男だと告げられる。
水原が、テスト担当を富山から財前に変更させる。

第七章
佃製作所製のバルブシステムを搭載したエンジン燃焼実験が行なわれる。
が、バルブが動作せず、異常値が出て実験は失敗に終る。
調査するが、バルブに異常な所は見つからなかった。
他の部分も含めて、佃製作所が調査する事になる。
調査すると、バルブフィルターに二酸化ケイ素が付着しているんが見つかる。
フィルターは帝国重工が用意したものだ。
帝国重工の社長である藤間社長に、佃製作所製のバルブを使用する事を許可してもらう段階まで来た。
財前が藤間社長の経歴を調べると、過去にロケット打ち上げ失敗の過去がある事が分かった。
佃と同じ過去を持つ社長に財前は、佃の思いを伝える。
藤間は、佃製バルブの使用を許可。
その後、二回目の燃焼実験は成功。

プロローグ
打ち上げ成功


【登場人物】
<佃製作所>
佃航平・・・佃製作所の社長
殿村直弘・・・経理部長
津野薫・・・営業第一部長
唐木田篤・・・営業第二部長
山崎光彦・・・技術開発部長
江原春樹・・・唐木田の部下
迫田滋・・・経理部係長

<佃の家族>
沙耶・・・佃の別れた妻
利菜・・・佃の娘

<ナカシマ工業>
三田公康・・・ナカシマ工業の事業企画部法務グループマネージャー財前と学生時代の友人。
大町・・・ナカシマ工業の企画部。財前と学生時代の友人

<弁護士>
田辺篤・・・顧問弁護士
神谷修一・・・知的財産に関する裁判では国内トップクラスのすご腕弁護士

<帝国重工>
富山敬治・・・帝国重工、宇宙航空部宇宙開発グループ主任。新型水素エンジン開発責任者
財前・・・帝国重工、宇宙航空部宇宙開発グループ部長
水原・・・本部長
田村・・・審査部主任
溝口・・・生産管理部主任

<その他>
浜崎達彦・・・大手投資会社ナショナル・インベストメントのキャピタリスト
徳田・・・京浜マシナリーの部長
柳井哲二・・・白水銀行池上支の融資担当者
三上・・・宇宙化科学開発機構での同僚
須田・・・超一流ベンチャーキャピタルのマトリック・パートナーズ社員